でする?(跡地)

2011/04/07 を以て更新を終了。
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  感想:インセプション

 相変わらずえふえふネタはないので映画レビューで穴埋め。
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検索等でいらっしゃった方へ。
以下、映画『インセプション』のネタバレを多く含むエントリでする。
場合によってはコメントもネタバレでする。
閲覧にはご注意を。








 主人公コブは相手の夢に侵入、もしくはあらかじめ“設計”した夢に引きずり込み、標的の潜在意識からアイデアや情報をエクストラクト(抜き取り)する傭われの企業スパイ。
 依頼を受け、強大な権力を有する大企業のトップ・サイトーから情報を得ようとするものの ── コブの潜在意識の問題、及びチームの一員“設計士”のミスにより失敗。
 依頼人は失敗を許さない。しかし、身を守るため姿を隠そうとしていた彼らに対し、標的であったサイトーが逆に依頼を。……自分を狙ってきた会社のオーナーは病に伏せっておりもう永くはない。その一人息子であるロバートに対し、「引き継いだ会社の解体」というアイデアを植え付けろ(= インセプション)。
 潜在意識に刷り込みを行うことによって人間の行動を操作しろと言うのだ。エクストラクションよりも困難かつ危険な依頼。だが、妻殺害の容疑をかけられ国に帰れず子供に会えない彼が最も必要とする“国際指名手配の解除”をサイトーにちらつかせられ、それを引き受ける。

 まず上映時間が 148 分。長い!
 個人的 120 分を超える映画って好きじゃないのでするよね。疲れるから。

 1 から 10 まで時系列通りにシナリオが進むとして、冒頭に 9 が来る演出。9 → 1 ~ 8 → 9 の続き → 10 。まあよくあると言えばよくあるパターン。
 わざわざ冒頭に放り込んでくるくらいであるからそのシーンが重要なのは言わずもがな。果たして、主にこの 9 をどう解釈するか、でラストシーン 10 以降が分岐する事を知るのでする。
 つまり映画見始めていきなり判断を迫られるのでするよ。さあこの映画はハッピー? バッド? もちろんその問いは 1 ~ 8 までを観て初めて判るものだけど。

 んで、ぼくの考えを言うと ── ほぼ同じタイミングで“落ちた”はずなのにサイトーはなぜ老人なのか。それもコブの事もすぐに思い出せないくらいに。コブの方も相対する人物がサイトーであること、また自身の目的を忘れてる。
 2 人ともコブのトーテムを見て思い出してるように見えるんでするよね。
 つまりはサイトーは虚無で相当な時間を過ごしてる。
 コブも同じくらいの時間、虚無を彷徨っている。姿が元のままなのは、サイトーよりは夢に詳しいからだと判断。
 よって、いくら時間の進みが遅いとはいえ、2 人とも戻れていないんじゃないかと。

 さらに言うと、コブは「子供達に会えなくなった」事じゃなく、指名手配の為国外へ逃げねばならない最後の瞬間「娘の名前を呼べなかった」事を後悔してた。確か。
 そしてラストシーン、コブはやっぱり娘の名前を呼べてない。娘の名を呼ぶより前に彼がしたのはトーテムを確認すること。娘が振り向いたのは付き添いの男性が呼んだから、だったように思う。
 つまり彼はまた“呼べなかった”わけで。それで、この無間地獄のような夢はさらに続くのだな、とぼくは思った次第でする。彼は永遠に妻を救えない。これは確定してるけど、もう一つは彼の支えだったはず。自分が娘の名前を呼んで、それで振り向いた娘の笑顔を見たい、からずっと誘惑に耐えてきたのに、彼は見てしまった。嗚呼。

 何が言いたいかというと、この作品は人によって終わりがハッピーだったりバッドだったりする面白い映画、ってことでする。これまでもどういう終わり方をするか観客の判断にゆだねられる作品は多々あったけど、ここまで曖昧なのはちょっとすぐ出てこないくらい。なので観終わったお客さん、笑顔だったり、難しい顔してたり、モヤモヤしてたりすると思いますでするよ。

 そしてこういう作り方をした以上、続編はない、と。
 続編作るとその 1 つに収斂しちゃうし。
 せっかく見た人すべてに“それぞれのエンディング”をインセプションするのに成功してるのに。


 ところでオーナーの息子可哀想すぎ;; 別に彼自身は(少なくとも映画の中では)何もしていないのに、サイトーの私利私欲のため勝手に感動巨編をインセプション、その後どうなったかの描写はないけどおそらく会社を解体する方向に進むんだろうし。
 しかしインセプションは潜在意識に種を植えるようなもので、その後その種がどう成長するかは誰にも判らないもの。実際にコブの奥さんも想定外の事になっちゃったわけで。この感動巨編をきっかけに吹っ切れて才覚を発揮、ハッピーになってくれると期待。じゃないと救われないでするよね、彼。

 気になったところ。夢の中は時間の進みが遅くなる。そしてコブはエクストラクションが仕事だから夢の中でかなりの時間を過ごしてる。経験も豊富だろう。なのに第 1 層のちょっとしたトラブルで感情的に怒鳴るシーンはどうか。そのくらい想定しているべきではなかったか。お芝居する必要性も見当たらないし、あそこ違和感があったでするね。お話がいいだけに特に。
 コブの奥さんについて、インセプションをインセプションで上書き、って出来なかったんでするかね。まあいかにも二律背反で精神が崩壊しそうではあるけど。


 ぼく評価:★★★★☆。さすが話題作、見て損はないと思いますでする。
 ただ、見ながら色々考えなきゃいけないし、ラストも曖昧なので、「とりあえずスカッとしたい!」方にはこれ以上ないくらい向かない作品。そういう方には同じく話題作の『ソルト』をオススメするでする。か、『特攻野郎 A チーム The Movie』。
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