[蹴] キーパー達の大会

2014 FIFA World Cup Brazil ™ 。
この日のオランダ - コスタリカ戦はスコアレスで延長へ。
でも。明らかにバテてる選手いるのに、オランダ代表監督ファン・ハール氏は手を打たない。延長後半スタート時にフンテラール入れただけ。交代枠まだ 1 つ残ってるのに。
え、なんで? と思ってたら ―― PK 戦突入前になんと GK をシレッセン → クルルに! うおぉ…… (゚Д゚)
今年 1 月の高校サッカー選手権で見た光景をまさか W 杯で。

PK って、普通 GK は「止めらんなくて当たり前」という気持ちで臨みます。だって PK には“絶対に止められないコース”というものが存在するし。止めらんないものは止めらんないっす。と、すぐ切り替えねばならないポジションでもあります。実際は「本当に止められなかったのか」「ポジショニングは間違ってなかったか」「壁の位置は」「コーチングは」など、試合終わってぐるぐるぐるぐる考えるんですけどね。次の練習まで。
が、クルルは「PK を止めるために」ピッチに送り出されたのです。
しかもそれまで 120 分間ゴールマウスを守ってきた正 GK との交代で。
替えられるシレッセンにとっては耐えがたい屈辱だし、これで PK 止められなかったら何しに出てきたお前ってなるし。いつもの GK 仕事とは全く違います。
キッカー以上の重圧ではなかったか。

しかしそんな重圧の中、クルルはきっちりと仕事を!
PK 2 本ストップ! 素晴らしい!

この活躍で PK 戦専用 GK って言われてるけど、ティム・クルルはイングランド・プレミアリーグ、ニューカッスルの若き正 GK 。当然、めちゃめちゃ巧いのです。オランダ代表は伝統的に GK にも足元の技術を求め、残念ながら彼にはその部分がちょっと足りてないので第 3 GK なのです。
あと何と言ってもデカい。193cm 。そんで手足も長い。
加えて、PK 戦で GK は(あくまで)一般的、この選手はどこに蹴る確率が高いか、クセは、等のスカウティングデータを元にあらかじめ跳ぶ方向を決めて左右どちらかに跳びますけど、彼はキッカーが“蹴ってから跳ぶ”んですよね。GK の逆を付くのが最も PK 成功率高いのに、彼が相手ではそれが出来ない。
193cm の手足長い人間が、こっち蹴ってからそのボールに飛びついてくる。キッカーにとっては恐怖です。実際 2 本止められちゃった。
……こうして見ると実に PK 戦向きの GK です。
足元巧くないのに招集した理由はまさにこの為だったのかも知れません。
ファン・ハール監督恐るべし。

PK 阻止率で言ったら第 2 GK のフォルムも凄いんですけどね。
彼は背が小さい。わし(187cm)より小さい。
デカい + 挑発がムカツク + 蹴ってから跳ぶクルルの方が可能性高いと判断したのでしょう。

[TV] フットボール三昧 (2011/12/04)

2011 年時も「若いのに随分“待てる”キーパーだなあ」と思ったものでした。

今大会はキーパーの活躍が特に目立ちます。
Man of the Match に選出されたキーパーも多数。コスタリカのケイラー・ナバス、U.S.A の“国防長官”ティム・ハワードに至ってはなんと 3 度も。
素直に嬉しいですねー。普段あまりスポットライトの当たらない場所だし。……致命的なミスをやらかせばすぐ当ててくれるんですけどね。
これを機にあまりサッカー知らない方にもキーパーの事を知って戴きたい。
基本、マゾであるとか。
基本、(わしを除いて)頭おかしいとか。
負けてる試合の最終盤ゴール前に上がるときはちょっとイケメンの顔するとか。
ラブレターもらえる率くっそ低いとか。
やっと彼女できても「首が疲れる」って理由で捨てられるとか。
フィールドプレイヤーより金かかるとか。
夏にキーパーユニはくっそ暑い死ぬ! とか。
基本蹴られるときはマジ蹴りなので死ぬ! とか。
でもやめないんだからやっぱマゾ、とか。