[過去][花粉] 生きる=逃げること、何も恥ずかしいことじゃない

FC 活動は風邪と花粉でお休み。
長く愛飲してたビタクール鼻炎カプセルが廃盤になったぽいんで、その後アレグラアレジオン → 今年はお薬屋さんが推してたアレルビにしてみましたがどうか。効いてくれ薬……!

花粉発生源対策について - 神奈川県ホームページ

無・少花粉スギやヒノキの生産 & 植え替えも進んではいるものの、わしが生きてる間にその成果を実感出来ることはないであろうなあ。次世代の日本は花粉で苦しむひとが少ないと良いなと思う次第です。

なおわし、九州の山奥に暮らしてた頃は全然花粉症ではなくて。
むしろ民放が MRT と UMK の 2 局しかない、かつ映りの悪い TV の向こう、首が痛くなるような高層ビルヂングの間をマスクして歩く人たちを見、「はっ、あんげな仰々しいマスクせんと外出られんとか、都会人はてっげ軟弱者やね!」と見下しておりました。
しかしかんとうちほーに出てきて以降、いつしかわしも花粉にビンカンな体になってしまい。思い上がっていた己を強く強く恥じたものです。

当時、己が花粉症となったことをはじめて意識したときのウェブ日記が Internet Archive に残ってたので、原稿用紙の穴埋め作業よろしく全文掲載。

■ 2000/03/24 Fri
 21 日の日記からずっとなんですが ―― はーはーはー、ヴェックジュンてやんでぇベラボウめィ! ってなモンで、アノ独特の鼻ムズムズ感とクシャミがな"んかもvう止"ま"ら"な"いんですよぅ。う"ー。
 これはつまり ―― 花粉症ってヤツですか?
 今年は例年に比べてより大量の花粉が舞っておるそうですし、花粉症自体ある日突然なっちゃうモンだとは聞いたことがありますが……。釈然としないものがあります。こっち出てきて 10 年近く生活する中徐々に失われていた僕朕の中の『田舎者』が遂になくなってしまったかのような ―― 例えば、昔体の中に確かにあった『子供』がまるでタイヤのエアみたいに抜けていってそうして大人になっちまったような ―― そんな感じです。とほ。
 確かに田舎の人間に電話するとよく『はー、おまえもーあっじゃねー、喋り方とか聞ーちょっと、まこつ横浜ん人間ごつなってしもたがや。話しちょってたまらんわーわら。なーんかばかにされちょっごたっが(笑)』と返されてました。それでも隣で聞いてるハニー(関西出身)には「……えっと、何て話してたの?」と問われるんですけど。
 そんげなわけじゃかいよね、まァ花粉症対策も含めちかい、こんねーなってしもた『イナカモン』をなんとかしてお前取り戻さんといかんけんよ。こっかい積極的に門川弁を使っていかにゃどんげもこんげもなっかいわら。まーこつてにゃわんとやき。あーんでどんげすっかねー。今年はかえっちょこかね。なーんか、こんげしていろいろかいちょっても巧く喋れんとよねー(笑)。

問 1)上記の文を標準語に訳せ。(10 点)
問 2)『マッハバロン』のロケ地ともなった、子供に大人気な宮崎の観光地の名前を述べよ。(5 点)
問 3)現在月マガにて『えとせとら』を連載中の漫画家、なかざき先生が昔主催した同人リレーマンガ企画に僕朕も 2 ページほど描いたコトあるんだヨ☆ とか言ったら信じますか?(5i 点(← 虚数))

筆者注:
これはインターネット黎明期、2000 年 3 月に書いたテキストです。
ハニーは当時のハニーです。いまのハニー = ママンでは当然ありません。
後半の宮崎北部弁は相当ヤりに行ってます。そこまでではありません。
連載についても当時です。
「僕朕」とか「虚数」とかいま読むと寒くて仕方ありませんが 2000 年のノリってことで許してください。つって近年も「でする」とか「わし」とか言ってるし根っこは変わってない気がします。

まだ文字数が個人的規定の 1,000 に足りてないようなのでついでに別の日の日記も載っけておきますね。

■ 2000/03/26 Sun
 さて、日記である。
 実を言うととある読者より「ぶっちゃけた話、うぜえ」との至極もっともな意見を戴いた。よって本日は、可視不可視な有象無象に噛み付いて行数を稼ぐことも、「日記とは~」で始まる形而上学的命題で読者を翻弄し高尚なテクストに見せかけることも、日記のふりをしてまるで日常と関係のない話題を書き連ねることも(私の常套手段である)、またオーディエンスが“引いている”のにも係わらず若手芸人のごとく狂躁的に勢いだけで押して舞台を寒くしたりもしない(これこそが正に私の本領である)。純粋に、かつ真面目に、かつ事務的に、かつ明らかな日記的に、本日の出来事を書き記す所存である
 天気が良かったので散歩に出た(ほら、もう始まっている)(……が、単に暇だったからではなかったか?)(「暇だったから」と書くより「天気が良かったから」とする方が詩的ではないか。前者だと友達居なさそうな小太りオタクが読者の脳裏に浮かぶが、後者だとゴールデンレトリバー連れた広告代理店勤務のやり手の 27 歳がマンションから颯爽と登場するだろう)(詩的であろうが何だろうが、日記には事実をこそ書くべきである。閲覧者が日記に要求するのは自慰行為そのものであり、他人に見せることを前提として様々な装飾を施された虚像のソレではない)(確かにそうだ。だが、素のままの自慰行為で閲覧者の感情や価値観を揺さぶれるのは生まれつきそう言ったセンス ―― バランス感覚と言い換えればいいだろうか、つまり一般人とは違う「何か」を持つ人種だけではないか。一般人である私には経験と、考えうるかぎりのありとあらゆる小細工を弄しながら地道に気長にやっていくしかない。少々の事実の捏造もその一つだ。限りなく素の自慰行為に近づけるためのね)(いや、キミは、素のままの自慰行為に対し「つまらない」と言われるのを恐れているだけだ。つまり「センスがない」とね。キミの根底にあるモノを否定されるより小手先の技をそうされた方が傷は浅くて済む。コトバを操る ―― 嘘をつく ―― 才能なんてものは、そのベースとなる柔軟な思考・価値観・発想がなければ至極無意味なものだ。……傷つきたくないだけだろう?)(違う!)(違うものか。キミには明らかに表現者としてのセンスがない。その事実を受け入れることを先延ばしにしているだけ。必死に逃げてるだけさ。はは、憶病者の言い訳だ)(ち、違う!)(まぁいいさ。どこまで逃げられるのか、僕はここで見ているとするよ)(ま、待てよ! ……違う、違うんだ……)。そして家に帰って寝た。

 SF 作家草上仁氏の『あとがき』を僕は書きたいんだよなぁ。

そして寝ます。