[Film] 『おおかみこどもの雨と雪』の感想

映画『おおかみこどもの雨と雪』のネタバレを若干含みます。

約 5 ヶ月ぶりの映画 ヽ(`Д´)ノ こっからペース上げて行くよ!
『時をかける少女』と『サマーウォーズ』、BD レコーダーには録画してありますが、まだ見てません。時間が……。

おおかみこどもの雨と雪 [★★★★☆]

雨と雪かわいー (*゚∀゚)=3 で見に行きましたが思いのほか重かった (゚Д゚)
全編、悲しみ(ルビ:喜び)に満ち溢れていました……。
なので ―― 「もうあんな思いはしたくない! 1 度見れば十分!」という感想。
嗚呼でもまた見たいなあ。んでまた悲しみに暮れるんだろうなぁ。

花さんが、おおかみおとこと出会い、おおかみこどもの雨と雪を授かり、しかしある日おおかみおとこは他界し ―― そっからの花さんの悪戦苦闘が中盤までのメイン。
……“ふつう”のこどもの子育てですら大変であるのに、授かったのはおおかみこどもで、誰の援助も得られない。しかも 20 歳そこそこの花さん 1 人でこどもを 2 人。
こんな状況なのに、花さんは常に笑顔で子供たちに接するわけです。
もう、痛々しくて。
こどもがカワイイ(言い換えれば“聞き分けのいい”)のが救いだけど、その下らない死に方も相俟って、無性におおかみおとこを殴りたくなってきます。「全部お前のせいだ!」って。

そんなおおかみダメおとこと花さんは大学で知り合います。
花さんは大学生、ダメ男は講義だけ聴きに来てる人。
その部分の「なぜ?」が一切語られないので、少々唐突感が。
花さん、奨学金とバイトで大学通うくらいなのだから、きっと“なりたいもの”があったのだろうけど(序盤の本棚を見てもイマイチ。講義はソクラテスの弁明あたり = 教養?)、雨と雪を授かって以降すっぱり休学。雪が中学上がるまで = 13 年ってことで、おそらくそのまま退学。
なりたいものを捨て去る決意をさせるほど子育てというのは素晴らしいものだ! と細田氏は言いたいのかも知れませんし、単にそこに触れると収拾付かなくなるからかも知れません。
しかしあれでは、あまりに花さん 1 人が犠牲になりすぎてはいないか、と思うわけです。母親は己を捨てて子のために犠牲になれ! という価値観もどうか。
雪が中学上がって、花さんはまた大学へ、位でも良かったのだけど。まとめとしては。

ダメ男は ―― 単に“えーかっこしい”ってことにします。
お前が何勉強しようと知ったことか (゚Д゚) 死ね。いや死んでるけど。

雨と雪。
ちなみに弟の雨がタイトルの先に来てるのは、雪の独白という体裁だから。
幼い頃は雪がワイルドで雨が大人しかったのだけど、小学校上がってからは逆に。
そしてわずか 10 - 11 歳で雨は親離れしてしまいます。これは親にはキツい!
人の世界と、山とでは時間の流れが違うのか、雨の成長が早すぎるなーと。ここでも花さんが可哀想だと。
雨と共に生まれ、雨と共に去って行く。嗚呼。

ちなみに雨。
……いやその、カーチャンもっと大事にしろよなにゆっくり歩いてんだよ! ちょま、なに駐車場に置き去りにしてるんだよ (゚Д゚) やせいのほんのう、で大事には至らないと感じたのかも知れないけど。
ダメ男の血を見た気がします。幼い頃の優しい、老狼を「あのひと」と呼ぶ雨のままで居て欲しかった。

雪と雨の大げんか。
……のあと、仲直りのシーンがないんですよね。
その後 2 人の会話は「今日は家に居なよ」「あんたが居てあげなさいよ」しかなく。まあ声のトーンから仲直りはしてるんだろうけど、ケンカのテーマが重いし、ケンカの結果も重いので、ちゃんと仲直りのシーンを見せて欲しかった。

花さんの畑だけ被害がなかった理由。
素直に考えれば雪の存在だろうけど、韮崎のじーちゃんに「畑が広くなきゃいけない理由、やっと判りました」ってお礼を言ってたし。こっちが理由なんじゃなかろうか。まるで判らないけど。

とまあ説明不足や設定の甘さなど、引っかかる部分もありますが、素晴らしい作品だと思います。面白い、ではなく素晴らしい。面白いか否か、でいうと面白くないです。見てて花さんが痛々しいし、ダメ男が無責任ダメ男だし。
雨と雪がおおかみになって疾走するシーンの映像と音楽が心に残ります。

なおこの作品で最もカッコイイ男性は草ちゃん。
「判ってた」には痺れました。