[Film] 『ToL』『こち亀』の感想

『ツリー・オブ・ライフ』及び
『こち亀 THE MOVIE』のネタバレを若干含みます。

再開。

ツリー・オブ・ライフ [★☆☆☆☆]

見終わった直後の感想:宇宙ヤバイ (゚Д゚)

世の中には「判る人には判る」表現物と「判る人には判る、ように見せかけた」表現物の 2 種類あって、それぞれに「判る」「判らない」と言う感想が存在します。「判る人には判る」表現物に対し「判らない」と言ってしまうと後々「判る」人に上から目線で長々とお説教されてしまい非常に厄介なのですが ―― 判らないものは判りません。

ただスゴい映画だと言うことは理解できました。賞を取ったのも頷けます。
作品の 65% はイメージ映像です。神、進化、心、祈り。
そこに登場人物の、これまた抽象的な独白が重なります。
特にスゴいのが序盤のやつ。「主よ貴方は何処にいらっしゃるのですか?」的な、おそらく内外に神を探す心理状態をイメージしているのであろう宇宙の映像が 10 分以上続きます。宇宙マジヤバイ。

その後の恐竜もヤバイ。VFX です。ジュラシック・パークです。そういうシーンが必要な作品だとは思ってなかったし不意打ちです。「なんで?」と思わず口に出してしまいました。言わんとしていることは判るけど。

あとストーリーが存在しません。
基本、成人し成功もした長男(ショーン・ペン)の短い回想と、イメージ映像で構成されてます。
頑張って解釈すれば ―― 回想内で一度は和解したものの、おそらく次男の死をきっかけにして再び父親(ブラッド・ピット)を拒絶するようになってしまった長男の悔恨か。「なぜ背を向けたのか」「あんなことを言うべきではなかった」と。謙虚で、寛容であるべきだったと。
そしてラスト、父や母や兄弟と巡り会い、ようやく赦される。

何らかの物語を期待して見にいくととんでもないことになります。
キリスト教的イメージ映像が続くので、聖書になじみの薄い日本人にはウケが悪いでしょう。
あと父親は単なる DQN です。

こち亀 THE MOVIE [★★☆☆☆]

ストーリーは悪くないと思います。王道で。
ただ、主演・香取慎吾さんの、なんとかマンガの両さんに近づけようとする悲壮なお芝居が見ててとにかく痛々しい。
ストーリーではなく、明らかにミスキャストと判ってなお、自分のファンとマンガのファンと、両者に納得してもらえるよう頑張るいち俳優の姿に涙しそうになりました。
ほんと頑張ってるんですよ。懸命にダミ声張り上げて、バカみたいな顔して。
出来ることなら報われて欲しいけど、興行的には失敗のようで……。

割り切って敢えてマンガ版に近づけないようにしたら面白くなったかも。
それはもう『こち亀』ではないけど。

気になった箇所。
・捜査本部の沢村桃子(深田恭子)の扱い。
・さらに誘拐された子の保護者が居る前で「1/5」って何考えてんの?
・この辺まで『踊る』の真似しなくても良いんじゃね? テーマ違うし。
・中川の金の持ちっぷりをもっと見せて欲しかった。
・麗子ケバくね?

良かった箇所:
・子供時代の両さん役の子は面白い。
・謝罪。

『こち亀』としてはどうしても見れないス。
下町のお巡りさんが主役の人情映画、として見れば普通。